新強制収容所
強制収容所の移転の話の続き
8月9日 午後3時過ぎ
研究室では移転後は、荷物がちゃんと運ばれているかをチェックして終了となる。
このあとも他の研究室の移転が8月24日まであるので、それまではバベルの塔には入っては
行けない事になっているので休みになる。
しかしそこは強制収容所、研究室とは全く違い移転後のその日に
さっそく荷物をあけ始めさせられる。
しっかり午後7時まで作業をさせられる、
だが強制収容所だけにこの程度では終わるわけがない、
私達がやっと夏休みの1次帰宅が、明日からみとめられると思っていた帰り際に奴が言う、
「明日は入ってはいけないことになっているが、それは業者のじゃまになるからだろう、
だからじゃまにならないように自分の研究室だけを片付けるのなら問題ないはずだ」
どうしてこいつが教授になれるんだろう?
入ってはいけないというのは、そのとおり入るなということに決まってるじゃないか!
なにいいように解釈してるんだよ!
お前みたいな勝手な奴がいるから世の中おかしくなるんだよ!
奴の勝手な思い違いのおかげで次の日も作業が行われることになった。
8月10日 移転後1日目
誰もがやる気がない状態で、全員が集まったのは10時過ぎだったが、
肝心の奴が10時半過ぎにきやがった。
全員がちょっとキレかけながら作業が始まった。
もちろん誰もがやる気がなく、作業は一向に進まず、
なんで今日片付けをしなくちゃいけないんだよ!
などと文句ばかりを言っていた。
荷物の片づけをしていくが予想通り荷物が多すぎてしまう場所に困る。
新しい強制収容所は広いことは広いのだが、前の2部屋分には満たないので
どうしても場所がない、置き場所がないので片付けもあまり進まない。
8月11日からは大学がお盆休みになり入校禁止になる、
いかに奴が常識はずれといえども入校禁止だと、
部屋に入るためのカギを貸してくれないので入れなくなる。
次の日から休みということもあり、この日は5時に終わる。
このあと収容所員と看守で移転のお疲れ会みたいなものをやることになる、
つかれたのは私達だけで、お前は私達をこき使っていただけだろうが!
もうつかれてるし、お前と1秒でも早く別れたいから勝手に一人でやれ!
と誰もが思っているが、明日から夏休みなのでちょっとは温厚になり、
仕方がないのでついていく。
化学実験日記で私が書いている内容を見ると奴は完全に狂っている
ようになっているが、ホントに24時間こんなんだったら間違いなく誰かに殺されている。
実際の所は奴は収容員に対してだけ厳しい、だから対外的にはそんなに悪い人、
どころかいい人にも思われている、
これは今年4年生4人の収容員が全員志願してきたこと、さらに後期の3年生の
希望をだして研究室単位にわかれて行う実験でも、この強制収容所が
定員オーバーで抽選になったほどだった。
奴ほどの偽善者というものをこの目で見ると、よくこんなことができるよなと感心するね。
そういうわけで、外に出て飲んでいるときは奴は普通の人になる、
それでも奴となんか飲みたくもないが、今後のことを考えると関係が
悪化するのは困るのでしょうがなく飲む、こんなところにも強制収容所の余波がある。
日本一まずい酒、それは嫌いな奴と飲む酒。
まずい酒ではあるのだが、割り勘になるので
(奴がいてもほとんど人数分で割るのとかわらない)
とりあえず飲んでおく。
奴とは話もしたくないので2時間ひたすら飲んで終わった。
夏休みは20日日曜日までで21日からまたはじめることになったのだが、
21日から24日まではまだ移転期間で、
入っては行けないことになっているのにこっそり入ることになった。
8月21日 移転後2日目
もちろん午前9時に作業は始まる、奴の監視下で作業が行われる。
奴の監視下だと休む暇を与えてもらえないので、速いペースで片付けられていく。
奴はこれまでと同じように具体的な命令は与えず、
これをどこかに片付けろ、この機械を動かせるようにしろというような命令を出す、
片付ける場所がないのに片付けろといわれてもどうにもならないのだが、
奴の命令は絶対なのでとにかく見えない所に押しこんでおく、
このようにして機能性に乏しい、使いにくい収容所が出来上がっていった。
昼になり作業を中断したときに問題が起きた、
人権がない強制収容所でも食事をしなければ作業をさせることもできない、
そこでお昼を食べに行くのだが、今までなら勝手に食べにいけばよいが、
新しい強制収容所では奴の部屋とつながっているので一応奴に声をかけなければいけない。
そこで奴に昼を食べに行くというと自分も行くと言い出す、
お前と一緒に食べるのは絶対にやだ!
と誰もが叫びたかっただろうが、収容員に拒否権はない。
世界で一番まずい飯、それは嫌いな奴と食べる飯。
まずい飯なのだが、早く食べると休む時間がそれだけ短くなるのでゆっくり食べる。
会話もほとんどなくものすごく重い雰囲気、まずい飯はさらにまずくなる。
しかも20分ぐらいで食べて、食べたらすぐに戻って作業を再開させられる、
普通の会社なら1時間ぐらい昼休みがあるのに・・・。
その後ひたすら午後7時まで作業をさせられてこの日は終了した。
8月22日 移転後3日目
連日午前9時から午後7時までの作業により、収容所は見違えるほど片付けられていった。
移転して3日が過ぎて新しい強制収容所の全貌がだんだん見えてくる、
バベルの塔はまだ完全には完成していなく、とくに周りの道路が全然完成していなくて
入る所がない、
そもそも入ってはいけないことになっているから、本来は別に問題ないはずである。
でも私達はそれでも入らなければいけないので、工事している所を無理やり通ったり、
業者の人が移転の作業をしている所を邪魔になりながらも通ったりする、
そのときの工事の人や業者の人の指すような視線はかなり辛いものがある。
毎日、なんでこんな思いをしてまで入って
作業をしなければいけないんだ!
とキレながら入る。
一度、工事のところは大掛かりな作業をしていて、封鎖されていてはいれなく、
業者の人は休みで全く入るところがないときがあった、
入れないから帰ってやろうかとおもったが、
そんないいわけは全く通用しないので、
かなり小さめで敷居が腰ぐらいまである、やたら入りにくいドア(世間ではこのドアを
窓ともいうらしい)が
偶然(決して自分で開けたわけではない)
あいていていたので、そのドアからはいったこともあった。
他の人もそれぞれいろいろな方法で何とか入って(侵入)いた。
(さすが強制収容所、なんとたくましい人達がそろっていることだろう)
この日も奴とのお食事会があり、このとき奴にどうやって入ったかきくと奴は、
私は入り口が工事をしていたので、
「ちょっと中に入るから作業を中止してくれ」
といって入った。
とあっさり答えた、自分が入るためだけに作業を止めるなんて、
なんてあつかましい奴なんだ、ほんとにこいつは人なのか?
人の心は持ってないことはわかっていたけど・・・。
こうしてまた1つ奴は伝説を作った。
新しい強制収容所に移ってから3日たち強制収容所の全貌が明らかになってきた。
まずバベルの塔は土足厳禁になっている、
これは竣工式まできれいな状態を保っておきたいという大学の意向により決まったらしい、
廊下などにはプラスチックのいたがちゃんと敷き詰められているので全く問題ないはずなのだが、
それでも土足厳禁になっている。
もちろん私は守る気はさらさらなく、いつも土足ではいっている。
こう書くと私が悪い奴に見えるが(まあ一概に間違いでもないのだが)、
これはこんなことを決めた大学のバカが悪い、
というのも竣工式は9月24日であと1ヶ月もある、1ヶ月間もいちいち入り口で
靴を脱いで上履きに履き替えて自分の靴を持って収容所まで行くなんてこと
やってらんない、
また外に出るときはいつも上履きを持ち歩かなければいけないということになる。
下駄箱でもあればまだやる気にもなるが、
一切ないのにただやれといわれてやる奴はそんなにいない。
大学の教職員は職員なので守らざるを得ないからまもっているが(もちろん奴は守っていないが)、
学生などはほとんど守っていないのが実情である、
まあ当然の結果といえるだろう。
またまだ排水設備がちゃんとできていないらしく、トイレが一切使えない。
どうしてもトイレに行きたい人は一度バベルの塔を出てどこか別の塔のトイレ
まで行かなければいけない、私は大学にいる間はトイレに行くことは
ないので全く問題ないが、トイレが近い人はすごく大変。
さらに収容所と奴の部屋がドアでつながっているのだが、奴がこんなことを言い出した、
「どこかにドアのストッパーはないか?」
誰もが深刻な顔して考える、
ストッパーはなんに使うんだ?
なぜストッパーが必要なんだ?
どこのドアに使うつもりなんだ?
これらの問いについては、もちろん誰もがわかっているのだが
認めたくない事実、
しかし奴の行動を止めることなど我々にできるわけがない、
本来なら板でも打ち付けて封印して開かずの間にするはずなのだが、
奴のおかげで閉じずの間になってしまった、
これで奴の接近を止める最後の砦が開かれたことになり、
監視態勢は最高に厳しくなった、
この状況は現在まで全く変わっていないので、おそらく
恒久的にこのままなんだろうな。
おそらくこれが今後もっとも問題になる事なのだが、
これこそ私の大学がとんでもないバカであることの証明になるだろう、
どこでどういう風に決めるとこうなるのか知らないが、
なぜかエアコンが午前9時から午後5時までしか稼動しない。
このエアコンはバベルの塔全体で動いているので、
こちらは強くしたり弱くしたりはできるが、つけたり消したりすることはできない。
これは午前9時から午後5時までに実験を終わらせろということなんだろうか?
ごく一部の研究室ならそれでも問題ないだろうが、大半の研究室はそんなわけには行かない。
実験によっては温度が変わると困るという物もいくらでもある、
独自に市販のエアコンをつけられるなら問題ないが、
研究棟なのでそんなスペースはない。
今のところ本当に午後5時でエアコンが切れて、午後5時半にもなれば
蒸し風呂状態になる、窓をあけても風通しが悪いので全然涼しくならない。
まだ今は夏なのでただ暑いだけですむがこれが冬になったらどうなるんだろう?
私は実験によっては午前6時に大学にいくこともあるのに、エアコンがついてなければ
寒くて実験なんてできたもんじゃない、
帰りも午後5時までに帰れるわけもないので、すごく寒くなる。
私は実験のためにとまるということはないが、他の研究室では
毎日のように誰かが研究室に泊まるというところもある、
この研究室はどうするんだろう?
夏は暑く、冬は寒くて実験どころではない、それどころか冬は生命の
危険すらあるのでは?
このバベルの塔はどう考えても研究棟として作られているとは思えない、
バカのやることは一般人には理解しかねるね。
他にもいろいろ不具合があり、
最新式なのに使いにくいことこの上ない最悪の研究棟となっている。
そしてこの研究塔は研究を全く知らない人が作ってるので、
電気に大きな問題を抱えていた。
研究室はコンセントがやたらと張り巡らされているのだが、
2つか3つぐらいの単位でブレーカーが分けて作ってあり、
そのブレーカーの限界を20Aに設定してある。
家庭ならそれでもいいだろうが、研究室では電圧をやたらと食う機械
がいっぱいある、このことによって大問題を引き起こした、
そして、私は・・・。