第一次研究室大戦
最終章

1999年 6月15日 午前10時  「出撃」
  夜は今までの事が走馬灯のように頭の中をよぎり、
これをすべて奴に指摘してやる!
などと思いほとんど寝れなかった。

  そして朝、いつもどおりに、ちょっとおそめに起きて大学に行く準備をする。
さあ、出かけるかというときに、電話が私を呼びとめた。
  電話はスポンサーからだった。
まさに家を出ようとする瞬間に電話をかけてくるとは、タイミングいいなと思いながら 話をする。

  話の内容は予想どうり最終説得だったが、今度の説得はチョット趣向が違った。 話は占いについてで、簡単に書くと次のようになる。

  いまは10年に一度の最高に運が落ちているときで、何をやってもうまくいかない 事が多い。でも7月になれば状況は良くなり、どんどん好転していくので、今は我慢して耐えた方がいい、 そうしないと一生後悔することになるよ。

  私は占いとかを信じる方ではないが、それでもやっぱり悪い占いはいやな物だ。

(そもそも占いというものは便利な物で、基本的に外れても怒る人はいない。
何か良い事が起こるというような占いは、普通の人はあまり覚えていなく、 あたったときに初めて思い出してあたったと思うぐらいで、仮に外れたとしても 良い事があたらなかっただけで何ら被害はないので、怒る人はいない。
  悪い事は起こらないほうがいいので、はずれれば喜ぶ人はいても怒る人はいない。
  実際のところ、ノストラダムス君や彼の占い(予言)を大々的に宣伝していた人達は 全く怒られても非難されてもいない。)

  さあ、いくぞというときに、このような悪い占いを聞かされると、 信じていなくても気分はかなりブルーになった。
  おかげで結局この日は大学には行かなかった。(もちろん無断欠勤)


1999年 6月16,17日  「休暇」
  15日のあと、さらに2日間勝手に休暇をいただいた。
やはり一度気分が落ち込むとなかなか戻りにくい、さらに日を置くと なおさら戻りにくかった。


1999年 6月18日 午後1時  「脅迫」
  3日ぶりについに大学に行く。そして奴に話(脅迫)をしに行った。
奴と私の有意義な話は2時間以上にもおよんだ。
話の内容は、わかりやすく書くと次のようになる。


  久しぶり! 元気だった? 僕は休みがあったから超元気!
  今日はね、お前がいかに自分がバカかを、いつまでたっても気づかないから、 わざわざ教えに来てあげたんだよ。

  感謝しろよ!
  とりあえず、いっておくことはお前いいかげんにしないと死ぬぞ!

  というか俺が殺すぞ!

前も一度殺そうと思ったけど、そのときは私の温厚な性格で なんとか殺意を抑える事ができたから、お前はいまも生き長らえていられるんだぞ。

  あとね、これは誰もが思っている事だけど、

  この研究室異常だぞ!

こっちは金払ってここにきてんねん、なんでこんなきつい労働せなあかんのや?
われは俺らがはらっとる金から給料もらっとるとちゃうんか?
そうかんがえたら俺らは客だぞ、われ客になんちゅう態度とってんねん。
そこいらの公務員でも、もう少しそういう自覚があるちゅうねん!

  それとね、これが君の勘違いの中でもっとも困った問題なんだけどさー、

  誰がすき好んでこんな大変な労働をすると思ってんの?
卒業がかかってなけりゃこの研究室はとっくに存在しねーぞ。
そうなれば当然お前は速攻リストラ、もしくが研究室に学生が一人も入らずに 自分で研究だぞ。今のお前にできんのか?
  今年、4年生が2人しかいないのも全部お前のせいだ。お前は間違った悪い噂が 流れているから、学生が集まらなかったなんて思ってるらしいけどな、
正確に本当の噂しか流れなかったから、集まらなかっただけだ。勘違いすんな!
  しかもお前、俺達が悪い噂を流しているとか言ってるらしいがな、 俺達は本当の事しか言ってねーんだよ!
聞くところによると、なんか今の3年生とかには、授業でやさしく接しているらしいじゃねーか、

お前こそ嘘ついて学生集めようとしてんじゃねー!

研究室を見にきた学生に本当のことあらいざらいぶちまけて、だれもこの研究室に希望を出さない ようにしてやる。
  そうなったら、また今年みたいに希望の研究室からあふれた者が2,3人くれば いい所だろうな、今年に勝るとも劣らない強者が集まるな。まあせいぜい頑張ってくれや。







  こんな話がひたすら続いた。一部(全部とも言える)表現の方法が実際の 言葉とは違っているけど、そこは私の心の中での話し方ととらえてください。
一応、仮に、まがりなりにも、存在としては年上ではあるので
(50歳の動物がいたとして年下の人間は、はたしてその動物に敬語を使う必要が あるのだろうか)
本当の言葉としては、もう少しは柔らかい表現で話している。
(それでも かなりキツク話したけど)


  で、このような話をした結果はというと
なんか奴はまじめに聞いていた、私は完全に大学を辞めるつもりだったけど、 奴がおとなしく話を聞いていたので、口論にもならずにすんだ。
奴は
「自分もいろいろ考えてはいるが、君達も少しは考えてほしい」
といった。
  私はこれ以上何をすればいいんだ?と思ったが、話し方がお願いという感じだったし、 もう言いたいことはいったのでわかったといって、話は終わった。


  その後は、これといって何も問題はおこっていない。
私は一応お願いに形だけでも応えるということで、毎日朝9時に大学に行き、 奴が帰る(だいたい午後7,8時)まではいるようにしている。
  これのおかげか、私の話を奴が理解したからかわからないが、最近は ほとんど全く問題は起きていない。
  しかも奴は最近やたらとやさしくなっていて、下手をしたらそこいらの研究室より はるかに楽なくらいだ。
  この分だと第ニ次研究室大戦は、うまくすれば起こらなくてすむかもしれないね。