7日目 「怒られサムライ」


3月4日木曜日

今日はK氏とまたちょっと別の機械を組み立て校正に行く、
似たような機械だが少し測定の仕方などが違う。

しかもここの現場はすごく遠い、
朝6時に集合なので5時過ぎには起きて5時40分に家を出る、
6時に集まってそこから高速で現場へと向かう、
先方は9時に来るようにとの指定があるのでこの時間に出ることになる。

K氏の車でひたすら進んでいく、
しかしここでトラブル発生、
事故渋滞に引っかかる、
この渋滞はどうも出来立てほやほやのようでさっぱり動かない、

せっかく朝早く起きて出てきたのにこれだとかなりショック、まったく意味なくなる。

それはまあいいのだが問題は今日の客先、
なんかそれなりに大きい会社なのになぜか工場長を訪ねるようになっていた、
普通はどこかの課長さんあたりをたずねるように指定されるのだがなぜか工場長、
工場長といえば当然工場で一番偉い人、当然年もそれなりだろう、
よりによってこんなときに・・・

しかしアセってもしょうがないとりあえず渋滞が解消するのを待つ、
でも30分たっても動かない、
いい加減やばいッス!
と思っていたらやっとのろのろと動き出した、

すでに午前8時、
どう考えても9時には間に合わない、
K氏が電話をする、
とりあえず遅れることを伝える、
怒ってはいないようだった。

渋滞を抜けて現場につくとすでに午前10時半だった。


今日は2人だけど工場長だし、
すごく怒っていたらどうしよう?
かなりドキドキしながら受付に行く、
なんか受付の前に40歳くらいの男の人がいた、
このときは特に気にせず受付にいって工場長を呼んでもらうと、
受付の前にいた人が工場長だった、

工場長にしてはかなり若い(ように見える)、
とにかく遅れて申し訳ないと挨拶をする、
とりあえず怒っているわけではないようだった。

早速現場に案内される、
少し歩いて工場長が止まる、
止まったところにはなんか物置がある、
なんか荷物を持っていくのかな?
シャッターを開ける、

ガラガラガラ



きゃーーーーー!

機械がおいてあるーーーーー!




なんてこったい、
こいつらなんてことするんだよ、
この機械いくらすると思ってるんだよ、
家庭用の物置に置くような代物じゃないぞ、

しかもこの物置すごく小さい、
この機械を置いたらあとはもうほとんど場所がない、
したがって私たちは必然的に外で仕事をすることになる、

そんなの聞いてないよー、
屋内型の機械でなんで屋外作業になるんだよー、
ここは海が近くてすごく風強いし、なんか天気悪いし、
雨降ってきたらどうするんだよー、
雨天中止か?


とにかくピクニック気分で作業を開始しようとすると、
なんか工場長が明日は何時に終わるのといってくる、
明日は午後5時までですけどと答えると、

それって切り替えはどうするの?

切り替え?なにそれ?
2人でさっぱりわけわからんという話をしていると、
そこへちょうど営業がやってきた、

そして営業が話し始める、
話がまとまったようでまたこっちにはなしをふってくる、

工場長「この機械は校正終了するまで何日かかるの?」

「3日です」

工場長「じゃあ土曜日まで仕事するの?」

「そう聞いていますけど」



工場長「こっちは全然聞いてないよ!」



えーーー、いきなりマジ切れモードじゃないですか!
まじっすか!

私たちはかなりビビってもう何にもいえない、
なんかそのあと営業ともめている、

ただでさえ遅れていて1日目は忙しいからから早く仕事にかかりたいのだがとてもそんな雰囲気じゃない、
背筋を正して話がつくのを待つ、

なんとか話がついたようでこんどは営業から話をふってくる、

営業「これ土曜日でないとなると月曜日にやればいいの?」

「いやそれは無理です、
校正データを金曜日にとって丸2日もあけて最終データを取るとデータがうまく取れないかもしれないので、
もし土曜日ダメなら月、火曜日で測定になります、
でも今忙しいから来週はもう予定が入っているからどうですかねー」



工場長「そっちの都合ばかり合わせてられないんだよ!
勝手に土曜日はいる日程できたのはそっちだろ!
こっちは何にも聞いてないぞ!」




ひえーーー、
またさらに切れてるーーー、


こんなとき思うことは、
もうバラすか?

うちら派遣なんですわ、
だからただいってくれといわれたところにいくだけです、
そういう話さっぱりわからないです。


本当に言いたい、でもさすがにまずい、
でもあとでK氏と話していたときに、
営業いなくて1人できてたら泣いちゃうよ、
絶対バラしてたよねとお互いにいっていた。

状況は悪化していく一方、
まあ営業いるしうちはさっぱり関係ない、
そっちでなんとかしてちょ、


話していくうちになんとか工場長の怒りも収まってきたようだ、
そしてまた別の話が突然浮上してくる、

それでその補正はいつやるの?
と工場長が言い出した。

K氏となにそれ?
と言い合う、
もうわからないので聞いていないっす、とあっさり言う。
(というかなに言っているのかもこのときはさっぱり理解していない)

いやCODを計るから相関で補完しなければいけないでしょ?

へっ?
送還で保管?
なにいってるのこの人?
意味わかんないよー、

なにせ私はこの機械はじめて、K氏もこの機械はまだ3回目ぐらいお互いさっぱりっす。

こっちがなにいってるのかなーという顔をしていると工場長が、

法律で決まっていて20点ぐらい測定してその結果から補正式をもとめるでしょ、
だからこの機械で20点測定してもらってそれを分析に出すんだけど、
測定はある程度ばらついた点が必要だからサンプルを薄めたりして作るんだけど、
それはいつやるのかな?

この話を聞いて私はやっとどういうことなのかを理解する、
(ちなみにK氏は本当は電気屋なので化学はさっぱりです)

この機械はCODをはかることができるのだが、
ただ計ってピークとして結果を出す、
それだけのものなのでそのピークがいくつの濃度になるかを求めなければいけない、
そのためにはいろいろな濃度をこの機械で測定して、
さらにそれと同じサンプルを分析に出して本当の値を求める、

基本的に一次関数になるはずなので、

Y=aX+b

すなわち濃度Yはピーク値Xをa倍してブランク値bを足せばよい、
これでサンプルをいろいろな種類(=濃度)で測定すると、
計算するための補正式が出てくる

この式ができればピークがいくつのときにCOD値がいくつか変換して求めることができるようになる。

どうもCODはそのようにして求めるもののようだ、

理解するとそれは恐ろしいこと、
すぐに私から工場長に

「それを測定するとすると1日または2日ぐらいかかるんですけど」


工場長「そんなにかかるの!」


「20点ですよね、1点で30分ぐらいなので600分で10時間です」


工場長「30分もかかるの!
じゃあそれいつやるの?」



「いやーいつというかねー(K氏と顔を見合わせる)、
そもそもそれをやるという話を聞いてないんですけどー(かなり恐る恐る)」


工場長「じゃあこの機械何のためにつけるんだよ!」


また切れていらしゃるーーー!
助けてーーー!




工場長「この機械つけるために、いまCODを測定する機械を止めるんだよ!
それじゃあCOD測定できないじゃないか!
工場の操業止める気か!」




これ本当に参ったぞ、
1人できてたら泣いちゃってるかも、

私たちまったく関係ない会社の派遣できているだけです!

とゲロってるかな。
だって聞いてないものは聞いてないんだもん(T^T)


また営業ともめている、
すでに30分経過しています、
このままだと午前中作業できないんですけど・・・

とりあえず話がまたまとまったようで工場長が質問してくる


工場長「えーと、君たちはじゃあ何をしにきたの?」


いやーーー、あきらかに話しまとまってませーーーん!
営業さん何してるんですかーーー!
私たちに聞く前に営業さんにその質問してくださーーーい!



K氏と私の秘密会議が始まる

K氏『どうする?』

私『どうするの?』

K氏『説明するの?』

私『また切れるでしょ?』

K氏『黙っていても切れるでしょ?』

私『でも説明無理でしょ、
あきらかに答えを求めてる質問じゃないよ』

K氏『だよね、やりに来たことは知ってるに決まってるんだからねー』

私『じゃあ今日はかえろっか?』

K氏『そうだね、あとは営業さんに任せよう』

    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

私『やっぱり説明しなくちゃダメかな?』

K氏『そうでしょ、ちょっと説明してあげてよ』

私『俺っすか!』

K氏『だって俺、電気屋だよ?
化学勉強してたんでしょ?』

私『でもこの機械はじめてみるしわかんないよ!』

K氏『俺だって3回目だよ、お願いなんとかして』

私『いや、ホント無理』

K氏『いや、俺も無理』


工場長「どうなの?」


しょうがないので私が答える、
私この仕事始めてまだ1週間なんですけど・・・

「今回は、
こちらの2つの物質(前回にやっていた機械と同じ物質)を校正して計れるようにするためにきてまして、
CODの方は測定はできる状態にはするんですが相関などについては今回の仕事には入っていないんです、
時間がかかることもありましてそれはまた別に仕事依頼があればやるのですが・・・」


工場長「じゃあ他のところはどうしてるの?」

K氏「他のところも同様で基本的にはお客様のほうで相関のほうはしていただいています」

工場長「そうなの?」

また営業と話し出す、
そして話がまとまったようでまたこっちに話を振ってくる、

工場長「じゃあ依頼すれば測定してもらえるの?」

K氏「そうですね、営業との話になるんですけど依頼があればできます」

工場長「それはすぐにできるの?」

K氏「いやーそれはちょっとわからないです、あとは営業の方にお願いします」

工場長「よくわからないけど、この機械で測定するの難しいの?」

K氏「・・・・・」

私「いや全然簡単です!
ここにサンプルおいてオフラインで直接測定すればあとは結果が自動的に出てくるのでそれと分析結果を比較して補正式を入力すれば終わりです。」

もう話しややこしくなるから自分で測定してくれーーー!


工場長「うーん、簡単そうだなー、じゃあ俺がやるかなー、
でもここのサンプルは濃度が全然変わらないからなー、
希釈してわざと違う濃度のサンプル作らなければいけないしなー、
まあいいやちょっと考えるわ、
分析のほうとの話もあるし、
で、土曜日なんだけど」

無理ならいいですーーー、
あたしらは従いますんでとりあえず今日だけ早く仕事させてください、

工場長「土曜日に仕事すれば月曜日には測定できるようになるの?」

K氏「なりますよ」

工場長「あ、そう、役所のほうに16日までに結果を出して許可もらわなければいけないからなー、
月、火曜日と仕事してやっと取れるようになったとするともう土日入れても1週間もないんだよねー、
それはまずいからやっぱり土曜日にやってもらって月曜日から測定したいな、
土曜日は何時までかかるの」

K氏「ちょっとやってみないとわからないんですが、
早ければ朝一番には終わります、
遅いと夕方までかかりますね」

工場長「ふーん、まあそれならやってもらうかな、
でもできるだけ早く終わってね、
土曜日1日いるのもやだから」

K氏「頑張ります」

なんとか仕事できる状態になったか、
早く進めないとなー、

工場長「それで切り替えはいつやるの?」


またさっきの未知の言葉が出てきました、
切り替えってなんすか?
聞いてないことばかりだよ、

切り替えって、なんて答えればいいの?


工場長「いや今のうちのCOD測定する機械とこの機械を切り替えるでしょ」

「はあ(切り替えるんすかねー?とはいえない)」

工場長「そうすると流量計をこっちの機械のものをはずしてこの機械につけるでしょ」

「そうですね(流量計?なんだそれ?)」

工場長「そうするとCODの測定が止まっちゃうでしょう」

「そうですね(そうなんです?かなり適当)」

工場長「それだとデータが欠落するから役所に提出する書類が困るんだけど」

「そうですね(笑っていいともにリハなしでもでれそう)」

工場長「どうするのかね?」

「そうですね(どうするんすかね?)」

工場長「よく考えると補正式が出るまでずーっとデータが欠落するんだね、それは困ったなー」

「そうですね(もういいじゃん、役所にはとまっちゃったテヘ?とか言っとけば)」

なんか工場長悩んでる、
また時間が過ぎていく・・・

私「よくわからないんですけど、この機械は土曜日から測定はするので値でますから補正式がでたらそこから計算して濃度を求めればいいんじゃないですか?」

工場長「あ、ああ、そういえばそうだね、データ出るんだからそれを控えていて計算すればいいか、
あとは役所がそれで納得するかだな、まあそれは聞いてみるよ、
とりあえず仕事始めて、あとは営業さんと話すから」

最初からそうしてください!
といいたいのをこらえながら何とか作業開始許可が下りた、
でもすでに1時間以上かかりお昼がちかい、

K氏「どうする?」

私「どうしますかね?」

K氏「お昼にする?」

私「でも時間がー」


K氏「疲れた」


私「お昼にしましょう」

ボロボロになりながら車に戻りお昼にする、
すでにタイムリミットが設定されている上にこの時間、
かなりピンチ、特に今日の出来がこの後の時間に非常に大きく左右する、
のこり4時間でどこまで進むかが勝負。

でも、この機械は前回の機械に比べると物は同じようなものだがちょっと複雑で組み立てもいろいろとやることがある、
簡単なほうでも組み立てだけで2時間ぐらいかかるので、
組み立てて校正をかけて値を見てOKならさらに3回校正をかけて変えるので時間かなりぎりぎり、
すでに後がない状況、

工場長またいつ切れだすかわからないし、
いろんな意味ですでにギリギリです。


お昼を食べてすぐに組み立てに取り掛かる、
残念ながら私ははじめてみる機械なのであんまり役に立てない、
手伝えるところは手伝うがあとは仕事を見て組み立て方を紙に書いていくだけ、

組み立てているとなんか部品が足りないと言い出した、
これがないと純水が流せないから測定がさっぱりできない、
前もこんなことあったんだよねとのこと、

いきなりピンチ、そんなこと工場長に言えたもんじゃない、
でも幸い箱の奥のほうに入っていた。

さらに組み立てていき純水を流すとなぜか排水チューブがなく漏れ漏れ、
ちゃんとやっておいてくれよーーー、
でもこれはどうもこの工場でつけたもののようで工場長が据え付けさせたみたい、
さすがにいえないです、
K氏がホースを持っていたので何とかそれで排水できるようにした。


さらにトラブル発生、
この機械はコンプレッサーを使っていてエアホースで本体に入れるのだが、
エアを入れるホースのつなぎが壊れていた、

これがないと今日はこの後さっぱり仕事ができない、
でもまさか今日はもうこれ以上はできませんので帰ります、

明日頑張りますけど土曜日には終わらないかなゴメンネ

とは口が裂けてもいえない、

近くでうっているところを探して何とか調達してきたいが、
ちょとその辺に売っているものではない、
でも何とか探してこなければいけない、
そろそろ泣いてもいいですか?

ここは田舎だし、闇雲に探してもとても見つかるとは思えない、

しょうがないので工場長に近くに売っていないか聞いてみることにする

すると工場長が持っていて持ってきてさらにつけてくれた、
普段はとてもいい人のようです、
まあそんな人ほど一度怒ると手がつけられないもの。


さらに純水流したら排水チューブしてなくて漏れ漏れ、
これもチューブをK氏がもっていたのでそれで対処、

その他にもいろいろ問題がありながらもなんとか起動状況までもって行った、
さすがK氏!

今までもいろいろとトラブルの多い現場を回ってきているだけあってさっぱり動じない、
そしてそれに対応する部品などを持ち歩いている。

すでに3時半ぐらい、
大急ぎで校正準備に入る、
とりあえずゼロと標準液を一回づつ測定してみる、
特に問題ないデータが出る、

K氏にいわせるとこれはかなりラッキーとの事、
この機械は普通にやっただけではちゃんとした値はでなく、
いろいろ修正をしていかなければいけない、
それが一回で出るとはかなりラッキー、
これならなんとか校正をして帰ることができる。

さっそく3回校正を開始する、
あとはデータが出るまで40分ぐらいあるので片付けながら待つ、

40分後、
データが出る、
なぜかこの機械はゼロからではなく標準液からはかり始める、
もう1つの機械と形はほとんど同じなのになんで?

もしかしてゼロを測定しない設定にしてしまったのか?
また大慌て、
K氏が別の人に電話をして聞いてみるとこれであっているとのこと、
なんで標準液からはかるようにしているのだ?
設計者が違うのだろうか?
それぐらい統一しておかないとこっちは困る!

しかもなぜかデータでたらTマークがでている、
(このマークはSとかいろいろあるのだがでたらデータがおかしいということ)

しらべてみるとピークが時間内に測定しきれないとでるエラーとの事、
(この機械はガスクロににた形式をとっていてデータはピークの面積で出る)
別におかしいところはないのでどこが悪いかわからない、
結局、まだ安定していないと言う結論で今日はそのままにして帰ることにした。


工場長に挨拶して逃げるように工場をあとにする、
ここからまた2時間半のドライブ、
家に帰ったら午後8時近かった。

今日はいろいろ大変だったのでかなり疲れた、
明日も早いしすぐに寝なければ・・・、

と思っていたがこの日記などを書いていたらいつのまにやら次の日になっていた、
はたして明日は大丈夫だろうか・・・
(とくに工場長の怒り)

怒られるばかりの「怒られサムライ」、
まあこの仕事はサービスメンテナンスなのでクレーム処理が多いから怒られことが多いのは当然、
でもやっぱりつらいです。(しかも派遣みたいなものだからこの会社儲かったからといってこっちが儲かるわけじゃないしね)